回る回る。

「かほりん、お寿司食べに行こう!」
「何なの、突然」
 帰りのSTが終わると翠が叫ぶように言い、歌穂は頭を抱える。
「寿司だよ寿司、お・す・し!」
「だから急に食べに行こうと言われたって、手持ちとかあるし、親への連絡もあるし……」
「思い立ったが吉日なのだ!」
 ああ、この子、私が「うん」というまでこのままだ。歌穂はそう察して、ため息をつく。
「さすがに、回転するところよね?」
「回転しないところがいい?」
「やめて、財布キツいから……」
 ふと、翠はとある少女の許に近づき、声をかけた。
「セーラちゃん、ここら辺でおいしい回転するお寿司屋さん知ってる?」
「……何故私に聞くのかしら」
 ボブカットの少女は不機嫌そうながらもスマホを操作し、近くの回転寿司屋を教える。
「ありがと、セーラちゃん! さすが情報屋!」
「情報屋を何だと思っているのかしら?」
 文句には何の反応も返さず、翠は歌穂の腕を掴み、歩き出す。
「さあさあ行くよかほりん!」
「まったく、仕方ないなぁ……」
 ポニーテールの少女と三つ編みの少女、二人は教室を出ていった。