行動と、想い。(SS版)

 少年が一人、街の中で立ち止まっていた。彼の眼に見えているのは人間の、腕、だけ。
「腕だけでも結構、どんな行動をしているか分かるもんだなぁ」
 手を繋いで歩いていたり、立ち止まって本を読んでいたり。近くには音楽を聴いているらしく微かにリズムを取っている腕も居る。少年はそんな光景を眺めながら呟いた。
 すると突然、少年の視界が何者かの手によって塞がれる。少年はビックリしつつもそっと、その腕をどけると。
 街の光景は、いつも通りに戻っていた。
「けど腕だけじゃ、細かい気持ちは伝わってこないよ?」
 少年の背中側から一人の少女が顔を出してきて言う。少年は少し驚きつつ尋ねる。
「で、×××××さんは何で此処に?」
「───だって、あなたが好きだから。」
 顔を赤らませながらも、少女は言い切る。
「え!?」少年は今日一番驚いた。