〈第1幕〉
「ねぇ、×××××くん」
彼女はそう話しかけてきた。
「この詩、いいと思うな~」
指さされた先にあるのは机にかかれた一編の詩。
「どんな所が?」
「なんというか、きれいごとはきれいに暗いことは暗く、正直にかいてある所かな」
俺もその詩を読んでみた。「まあ言われてみれば、そうだな」
「でしょ!ここの教室って落書きの宝庫だよね!こんないい詩も混ざってる。そうだ、部活作ろ!」
ここは、×××××室。
「部活作ろって……言われても……」
俺は言い澱んだ。
「名前は、そうね……机上詩、同好会がいい。」
「顧問はどうするんだ?」
「適当に見つければいい。活動場所は此処。いろんな部活とかぶってるけどね」
「そんな、軽いノリで」
「いいの!もう学校に申請しなくてもいいから、勝手に任意団体にしちゃえばいい」
「いいのかな……」
「できるだけ早く……」
「え?」
「何でもない何でもない」
その日授業が全て終わった後俺達は×××××室に集まる事になった。俺が行くと、彼女はまだいなかった。
「この詩、写しておこうかな……」
そう思った。消えてしまうかもしれないから。
『別れっていうのは つらいよね
人間はいつか 別れなきゃいけないけど
別れたくない そう思う
新しい出逢いの始まりだっていうけれど
そんなの、言い訳
けど 期待してもいいかな
その”新しい出逢い”に』
彼女は何で、この詩がいいと思ったんだろう?
その時から、彼女は気づいてたのかもしれない。