机上詩同好会、その後。

プロローグ

「──この詩、いいと思うな~」
 平川さんが声をかけてきたのは、突然だった。いや、その数日前にぶつかったことはあったけど。けどその時の出来事がきっかけとは思えないから、突然と言って正しいだろう。
 強引に、でも今から考えると焦った様子で、僕は彼女が立ち上げた(設立要件を満たしてなかったから、学校にも無断だ)「机上詩同好会」に入部させられた。自分が何となく書いた、視聴覚教室の机への落書きで。
 彼女との日々は楽しかった。けど冬休みが明けたある日、クラリネットを手に持ったまま、告げられた。
「私、そろそろ寿命かな」
 当然僕は信じなかった。冗談だと思った。けど彼女は真剣で、実際彼女はその後すぐにいなくなってしまった。そして彼女の父親から渡された、彼女からの手紙。その内容を見て、僕は後悔した。どうして彼女を信じなかったのか。彼女の気持ちに何故、気づけなかったのか──